A “Honour” ゴシック・テクスチューラ体・カデルス体・ロンバルディック体 羽根ペン・ガッシュ・金箔・金粉・上薬・卵 他 2006年2月 第34回國際書道連盟展 入選作品 2001年に一度受講して、2005年の夏講座で再受講したゴシック・テクスチューラの課題作品です。 やっとの思いで原稿を仕上げ、「結構大変そうだなぁ」と尻込みしてしまい、結局本番に取り掛かれずに来た作品でしたが、「連盟展に出します」と宣言して“作らないわけに行かない状態”に身をおいて挑みました。 結局、作品搬入日の2日前にできあがるという、おそろしいまでのギリギリっぷりでした。 でもデザインから装飾まで 細かいところも詰めて作れたので、作品としては満足しています。 この作品は、“Honour(名誉)”のタイトルで、中世の騎士道精神を書いた作品です。 ゴシック・テクスチューラ2回目受講の作品として、「いかにも!」なゴシック作品にしたかったので、真っ黒と真っ赤の文字で、びっちり左から詰めて文字を配置し、ところどころにバスタルダで習ったカデルスも使用しました。 タイトル(画像上↑)では、盛り上げた金箔で大きく文字を配置し、そのタイトル文字の隙間から背景みたいに見えるように、文章内の特に導入部分(赤文字部分)に出てくるものを、たくさん描きこんでみたつもりです。 |
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お城・タカ・犬・岩・馬・その他諸々。 どうでしょう。 馬にまたがった騎士達は、こんな世界に生きていたのではないかしら。 馬がね・・・人間もですが、絵の描けないyayoには悩みのタネでした。 馬、ずんぐりむっくりで道産子みたいでしょ。 とても騎士の乗るかっこいい馬にはなりませんでした☆ ま、いっか。 文字の金箔の縁取りを頭に入れずに、小さな小さな木を何本か描いたのですが、縁取り線が乗ってすっかり消えてしまいました。 考え無しだったとは言え、ちょっとしょんぼりです(ToT) そして、今回の作品で結構気に入っているのが、左の一列の飾り文字。 特に金の入っていない一番小さなロンバルディックは、とってもシンプルで簡単なのですが、なんだか好きです(画像下↓の下側)。 大きなT(画像左の一番上)と小さなT(画像上の上側)の飾り文字は、タイトルと雰囲気を変えるため、背景に金粉を使用しています。 挿絵として入れたお花には、「名誉」という花言葉を(正確には「を」ではなく「も」ですが)持つ、デルフィニウムの青いお花を選びました。 青は紋章学的にも「忠誠」など、今回のテーマに合う色なので、青のお花を描きたかったので、やっと(少々こじつけて?)見つけ出しました。 タイトル中で、騎士の足下やお城のふもと、犬たちの走る湖の水辺にも、その花が はえているのですけど・・・みえないですよね。 くやしいのでアップ!(画像右下↓) |
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どうでしょう、青いお花、なんとなくみえるでしょうか。 カーペットページといわれるフチの格子模様に上薬をかける際、格子模様を全部にじませてしまったり、犬がどうしても犬(画像右→)に見えなかったりと、半泣きしながらの作業でしたが、喉元過ぎれば何とやらですね。 さてさて、肝心のカリグラフィーのお話をしましょう。 文字に関しては、言うまでもなく努力を重ねてきましたし、どの作品も美しく伸びやかに書く事を心がけてきました。 でも、苦手な書体はあります。 私にとって、このゴシック・テクスチューラは、最も苦手とする書体の一つでした。 |
↑ここに・・・↑ここも、青いお花。ね? |
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今でも大得意ではありませんが、2度受講して、だいぶ腕になじんできたように思います。 ゴシック・テクスチューラの特徴である真っ直ぐな縦線と、“ダイヤモンド”と呼ばれる上下の四角いドット(◆←こんな感じの。)も、昔よりは落ち着いて均等になってきました。 下のダイヤモンドは、その形や次の文字によって数種類の幅がありますが、昔は上のダイヤモンドも揃わなくて。 今回も、例えば例(画像下↓)では、赤い丸の箇所のように、少し大きくなってしまったところがあったりします。 |
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(赤丸は画像にデジタル加工でつけました。) 小さな文字で書いたので、実際のサイズで見たら、ほぼ判らないレベルではあるのですけれど、でもね、本人は気付いてしまうものです。 出来上がった作品の欠点は、そのうち気にならなくなる場合もあるし、後からより一層 気になってしまう場合もあります。 今回はどうでしょう。 |
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いずれにせよ、やはり同じ書体を2度受講する事の意味は大きかったと、心から思います。 今回は、羽根ペンでの受講&作品作成でしたので、その点でも得るものは多くありました。 前述したゴシック・テクスチューラの特徴である「真っ直ぐな縦線」と「上下のダイヤモンド」は、文字のスペーシングや、ペン運びの滑らかさなど、“文字における基礎的なテクニック”が身についているかをハッキリ見せ付けます。 縦の線が、全て“真っ直ぐ”に“均等なスペーシングで”並んでいる事、ダイヤモンドの“サイズが揃っている”事、そして、そのダイヤモンドが“柔らかく自然に”打たれている事など、他にもポイントは数多くあります。 そして、エレガントであるポイントの一つとして、“ダイヤモンドが小さい”という事があります。 例(画像上↑)でも、O・T・Eなどの下がカーブした文字と違い、I・H・F・R・Nなどの縦線についているダイヤモンドは ひっそりと小さく打たれているのがわかるでしょうか。 大きなダイヤモンドは、品が無いので、出来るだけ目立たないように打つようにしています。 中世写本を見ても、美しい写本では、大きなダイヤモンドは打たれていないですよね。 ゴシック・テクスチューラ体に関しては(イタリック体もだけど)、きっといつまで経っても練習が必要です。 |
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でも今回は、2度目の受講で大きく成長した自分に「よくがんばったー♪」という気持ちです(^−^)** さて、今回はちょっとおまけ。 これ(画像右→)は、この作品の初期の原稿です。 まだ、ただ書いて、飾り文字を入れる位置を悩んでいる状態。 仕上がった作品では、赤文字の部分なので、4行共通の”The”の”T”を大きくして共有しました。 スペルミスしまくりの、ちょっぴりはずかしい原稿の初公開でした☆ |
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