本文の色は上(ラテン語)下(英語)とも、同じ色を使っています。
こげ茶に見えますが、実際は黒なのです・・・と、言うよりも、数年後にもう少し酸化して黒っぽくなるように絵の具を合わせました。
黒はすこし不透明感にかけているので、それを補う色を入れる事があります。
写真のように黒ではない色合いになりますが、実はその2種類は相性の悪い絵の具なのです。
相性の悪い絵の具同士は、いずれ酸化して、より黒っぽくなります。
(少し書き難くなるので、分離を防ぐ色も混ぜなくちゃダメですよ!)。
数年後、今よりも全体的に締まった感じなる事を期待しています。
つまり、大切な作品を作るとき、絵の具の相性はとっても大切って事ですよね。
数百年後も鮮やかな色を保つ作品を作るために、相性の良い色の組み合わせで作るべきです。
きれいなピンクのお花が白黒写真のように黒ずんでしまったらショックですから、ね。
この作品はわざとなので、OKです!
また、ラテン語部分の句読点についてもふれておきたいと思います。
当時は句読点に関する決まりがなく、単語と単語の間にスペースも入れていませんでした。
写本の中の息継ぎ箇所にそれとわかる印を入れたり、地方や書く人のクセもあったようです。
この作品でも、単語間のスペースは入れず、一文毎に小さな印を入れました。
もちろん当時の雰囲気を出す為ですが、英訳部分は現代風にスペースも句読点も入れています。
さて、下半分は、その英語の翻訳部分になります。
メロヴィング王朝時代の典型的な飾り文字を、少しだけ現代的にアレンジしました。
写本の文字や装飾は、不透明な絵の具が使われますが、この時代には一部だけ透明に透けて見える絵の具を使います。
最初のAの飾り文字には(下の写真では分かり難いですが)羽根ペンと本の背表紙を描きました。
ちょうど左右にスペースが開いたので、両脇に小さなロウソクを描いてみました。
おそらく当時は、今の私達ならば目にするだけでも震えてしまいそうな貴重な本の数々を、こんな 小さなろうそくの灯りの中で書いたり読んだりしていたのでしょうね。
そう思うと、ぼかしたロウソクの灯りも、丁寧に丁寧に描こうと思えます。
2段落目の大文字タイトルの下には、本文としてハーフアンシャルの文字が続いています。
アンシャルだけど完璧に大文字ではなく、少し小文字寄りの書体。
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