“The Thing…” メロヴィンジアン ルクソイ体 ファブリアーノ・ガッシュ・金箔 |
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自然の移り変わりの不思議を書いた散文をメロヴィンジアン王朝時代の文字で。 “ Monasterium sine liblis ”に使った拡大文字・大文字・グリークアンシャル・ハーフアンシャルに加えて、 ルクソイの修道院で使われていた小文字書体を本文に使いました。 |
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まずは上から順番にご説明します。 文頭の“THE”の装飾文字には、文章中にでてくるツバキ(カメリア)の花を組み入れて描きました。 色の塗り方で、どうしても満足ができず、結局 ツバキの花の修正だけに、1か月半以上も・・・。 イルミネーション中級のクラスで習った、色の反映の方法や上薬なども活用して、丁寧に修正しました。 写真では分かりにくいと思いますが、ツバキの花と葉っぱには、上薬をかけて光沢を出してあります。 最終的には、満足できるツバキを描く事が出来ました☆ |
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イルミネーションと色の知識が増えるにつれ、逆に迷う事の多くなりましたが、もぅ大丈夫・・・かな? うーん、やっぱりまだ不安です。 結局 今回も、産みの苦しみでした。 左の画像は作品の2行目からです。 最初の大きな“THE”の飾り文字を除く4書体が見られます。 このように、書体を「飾り文字→大文字→小文字」とするのが通なスタイルです。 今回は、ほぼ同じ位のXハイトで書いていますが、文字のサイズも、書体に合わせてだんだんに小さくしていく事もあります。 ルクソイの小文字書体(左画像の下2行)は、ていねいに書かれた印象のある、安定した小文字書体です。 リガチャーのパターンは多いのですが、本来はとても読みやすい書体なのです。 |
“ Monasterium sine
liblis ”に引き続いて、小文字書体を含んだ作品を掲載し、やっと「メロヴィング王朝時代の文字は、こんな感じですよ!」というのを、みなさんにお見せできました。 どうでしょう。 好きですか? ルクソイのレクショナリーという素晴らしい写本を元に学びましたが、お手本にしていた写本のコピーを目にしても「すごい!ステキ!」という人と、「うーん・・・微妙?」という人の両極化します。 結局は好みなんですけどね。 私は、この文字を使って、誰が見ても美しいと思える作品に仕上げたかったのです。 私には、とてもとても考え抜かれた、美しい書体に見えます。 この時代の書体は、どれも華やかさはありませんし、パッと見た感じでは あまり難しく見えません。 でも実際は、とてもとても難しい書体ばかりです。 今までに無いくらいに苦労しましたが、一年やっただけの事はあって、だいぶ腕にも馴染みました。 グリークアンシャルやハーフアンシャルという大文字2書体と合わせて、少しでも多くの人に「ステキな書体ね」と思ってもらえるように、表現者である私達も努力が必要だと思いました。 メロヴィング王朝時代は、文化の発達しなかった「暗黒時代」です。 文化史の中で「忘れられた時代」と言われ、美しい文字も写本も、飾り文字も、ほとんど残りませんでした。 どの時代、どの地域に継承された芸術もそうですが、それらを学び、「そのまま」に表現するのも、テクニックを必要としますし、格別な喜びがあります。 しかし今回は、出来るかぎり 「自身の感覚に、メロヴィンジアンの雰囲気や特徴的な技法を取り入れて」 この作品を仕上げてみました。 今までとは少し違う感覚で、伝統にのっとりながら自分を表現する、そんなトレーニングになりました。 次は、とうとう羊皮紙(!)での作品に入ります。 しかもメロヴィンジアンの超草書体である、チルベルト王時代の事務書体を使って。 最終課題は大作になるようですし、気が遠くなりそうです☆ |
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